船舶免許と飲酒操縦|何が禁止で、違反するとどうなるか


船にも飲酒運転のルールがあります。小型船舶の操縦者は、飲酒などで正常な操縦ができないおそれがある状態で操縦してはならず、酔った人に操縦させることも禁止です。違反すると3点の違反点数が付き、累積すると業務停止などの行政処分を受けます。操縦しない同乗者の飲酒の扱いや、船上で飲みたいときの現実的なやり方もあわせて説明します。
この記事の結論
- 小型船舶の飲酒操縦は法律で禁止。酔った人に操縦させるのも違反になる
- 違反点数は3点、死傷事故を伴う場合は6点。累積すると6か月以内の業務停止などの処分
- 数値の基準ではなく「正常な操縦ができないおそれ」で判断されるため、操縦者は最後まで飲まないのが基本
船の飲酒運転は禁止されている?
禁止されています。船舶職員及び小型船舶操縦者法で、小型船舶操縦者の遵守事項として「酒酔い等操縦の禁止」が定められています。
条文(第23条の36第1項)では、小型船舶操縦者は、飲酒や薬物の影響などで正常な操縦ができないおそれがある状態で小型船舶を操縦してはならず、そうした状態の人に操縦させてもいけないとされています。ボートでも水上オートバイでも同じです。
国土交通省は、この禁止は飲酒などで注意力や判断力が落ち、正常な操縦ができないおそれがある状態での操縦を禁じるものだと説明したうえで、航行の安全のためには操縦する際に飲酒を控える必要があるとしています。「少しなら大丈夫」ではなく、操縦する人は飲まないと考えるのが安全です。
車の酒気帯び運転と何が違う?
船のルールは、呼気のアルコール濃度の数値ではなく「正常な操縦ができないおそれがある状態かどうか」で決まります。国土交通省の説明でも、判断の軸は数値ではなく操縦への影響に置かれています。
数値の線引きがないからといって、少量なら許されるわけではありません。船の上は、日差し・揺れ・脱水といった条件が重なり、陸上と同じ感覚では判断しにくい環境です。船酔いと酒の酔いが重なることもあります。操縦する人は最初から最後まで飲まない、と決めておくのがいちばん確実です。
なお、帰港後にマリーナから車で帰る人が飲めば、それは道路交通法の飲酒運転の問題になります。船を降りたあとの移動手段まで含めて、誰が飲まないかを決めておきましょう。
飲酒操縦で違反するとどうなる?
違反点数が3点付き、死傷事故を起こした場合は6点になります。点数が累積すると、業務停止や戒告の行政処分を受けます。
| 違反の内容 | 通常 | 死傷事故を伴う場合 |
|---|---|---|
| 酒酔い操縦、自己操縦義務違反、危険操縦など | 3点 | 6点 |
| ライフジャケット着用義務違反など | 2点 | 5点 |
- 処分:累積点数が基準に達すると、6か月以内の業務停止または戒告の処分が科されます。処分の重さは、過去3年以内に処分を受けた前歴があるかどうかでも変わります
- 再教育講習:通知を受けて講習を受けると、処分が免除または軽減される仕組みがあります(原則として通知の翌日から1か月以内に受講)
- 事故を起こした場合:海難の原因に関わった操縦者は、海難審判で免許の取り消しや業務停止などの懲戒を受けることもあります
点数は、自分が飲んだ場合だけでなく、酔った人に操縦させた場合にも問題になります。ライフジャケットの義務と点数は着用義務の記事で説明しています。
同乗者がお酒を飲むのは違反?
操縦しない同乗者が飲むこと自体は禁止されていません。ただし、船長(操縦者)として知っておくべき点があります。
- 酔った同乗者は落水しやすい:甲板上の移動や立ち上がりがいちばん危険です。全員のライフジャケット着用は飲んでいても同じ義務です
- 酔った人に操縦を代わらせない:「少し舵を握らせる」も、酔った状態の人に操縦させたことになります
- 交代要員がいなくなる:「交代で操縦するから」と全員が飲むと、操縦者が倒れたり体調を崩したりしたときに代わりがいません
同乗者の安全を守る準備は同乗者を乗せるときの記事にまとめています。
お酒以外、薬や体調不良でも違反になる?
なり得ます。条文は飲酒だけでなく「薬物の影響その他の理由」で正常な操縦ができないおそれがある状態も対象にしています。
たとえば、眠気が出る薬を飲んだあと、前の晩の深酒が残っている朝、強い疲れや寝不足で注意力が落ちているときなどは、操縦を控える判断が必要です。船は止まるまでに距離がかかり、波や風で姿勢も変わるため、判断の遅れがそのまま事故につながります。
- 服用中の薬が操縦に影響するかは、医師や薬剤師に確認してください
- 出航前に体調が悪いと感じたら、操縦を代われる免許保有者がいない限り出航を見合わせます
- 前日の飲酒が残っていそうなら、出航時間を遅らせるのも一つの方法です
水上オートバイでも同じルール?
同じです。水上オートバイも小型船舶なので、酒酔い等操縦の禁止がそのまま適用されます。
水上オートバイは免許を持つ本人が自分で操縦しなければならない乗り物で、スピードも出ます。海水浴場の近くなどで事故が起きると重大な結果につながりやすく、夏の事故の典型として飲酒や無免許が挙げられています(水上バイクの事故の記事)。浜辺でバーベキューをしながら飲み、その後で乗る、という流れは避けてください。
船の上でお酒を楽しみたいときはどうする?
対応する教習所・スクール
国家試験免除JEIS関東
「国家試験免除で船舶免許取得」と案内。1級・2級・進級・特殊(ジェット)・特定操縦免許の講習を案内。更新・失効再交付講習も実施。公式に「設立50年の信頼と実績」と記載。
国家試験免除ブライトマリン
国土交通省の登録を受けた講習機関で国家試験免除で取得できると記載。1級・2級・水上オートバイ・進級コース、セット免許あり。更新・失効再交付講習も実施。3名以上(更新・失効は5名以上)で出張講習も行うと記載。
国家試験免除JEIS近畿(日本船舶職員養成協会近畿)
国土交通省登録小型船舶教習実施機関(近小教第3号)。国家試験免除コースと国家試験受験コースの両方を案内。更新・失効講習も実施。公式に「JEISグループ全体の卒業生は、累計約100万人」と記載。